FC2ブログ

70's/80's Monochrome Age and Years of Ektachrome film

飛騨一ノ宮 (高山本線) 1998

hida_ichinomiya_02-Edit.jpg

1934年10月25日の全通と記録される高山本線の建設目的は、岐阜-富山間で米原回りに比して60キロ余りを短縮する中京地区と北陸地区との短絡に在った。沿線に主要都市を持たなかったから旅客輸送には地域輸送が主体と考えられた様子で、5往復の普通列車と岐阜-高山間に準急1往復の運転されたのみであったが、こと貨物輸送においては両地域間の物流促進が期待され、実際に戦前期には伊勢湾岸に富山湾岸の工業地帯への原料輸送に製品出荷、沿線鉱産物の両港湾への搬出に寄与したのであった。
ただし、丙線規格での建設には最急曲線のR=250Mに最急勾配の20‰が介在し、特に高山以北区間でKS12で構築の橋梁負担力には9600形蒸機の入線が限界であり、それの飛騨金山以北での定数は37と輸送力には乏しかった。
戦時下に戦略物資輸送の幹線として重軌条化や信号場設置など北陸本線への投資が進めば、中京-北陸間と云えど輸送力の主体は移行して往ったのだけれど、戦後の復興期から経済成長期への一時期、爆発的に増加した関西方面と北陸間の貨物需要に対して、溢れる貨物の代替輸送路として再びに高山本線の注目された経緯がある。関西と富山以東直江津方面との連絡においても、高山本線は米原-富山間で北陸本線より10キロを短縮していたのである。

1958年当時のことである。北陸本線は敦賀の前後に存在し輸送の隘路となっていた急勾配区間の解消に、別線新線による複線電化工事に着手していたが、それには深谷トンネルや北陸トンネルを含んで、まだ4年の工期が想定されており、増え続ける関西対裏縦貫線の輸送需要に加え、輸送力の小さい高山本線より溢れた中京-北陸間貨物も米原へと迂回して、その容量をより逼迫させていた。吹田や稲沢の操車場には抑留車の累積する有様だったのである。この状況に対して、本来の中京-北陸間輸送を高山本線経由に戻し、併せては北陸線通過貨物の一部をも同線経由とさせる案が国鉄部内で検討されるに至った。
考えられたのは、牽引定数の向上を狙っての機関車の大型化、即ち岐阜-飛騨金山間のC58、飛騨金山-富山間の9600に替えて全線へのD51若しくはDF50内燃機の投入であった。いずれも列車設定を現行と仮定しても輸送量の増加は収益率も押し上げてC58/9600の使用に対して有利とされるも、両機の経済比較では新製を要するDF50は投下資本とその利子負担からも北陸線電化後には捻出もある手戻りには退けられ、D51の美濃太田機関区、高山機関区への配転案が採用された。これにより、飛騨金山以北を重連運転とすれば全線で900t牽引(定数90)が実現するのだった。
ただし、それを阻むのが丙線の低い線路規格と短い停車場有効長であった。D51の軸重14tは乙線規格を要したし、900トン列車のワム車換算45車の列車長は重連の機関車なら400メートルに達したのである。全線を乙線とする線路改修だけでも当時に10億円を超える投資には当然に見送られ、最高運転速度の50km/h以下制限を前提の軌道、橋梁負担力の強化が約1億1500万円と見積もられていた。加えては低速での運転に線路容量の不足する焼石-少ヶ野貨物扱所間に信号場の設置が2000万円を要するとされた。

この高山線輸送力増強計画は結局のところ、飛騨金山-高山間の軌道強化だけに終わってしまい、高山機関区には4両のD51が転属して1959年4月より同区間のみに運用された。高山以南区間については、丙線規格ながら幸いにも橋梁のみは活荷重KS15で設計されており、投下経費も少額で済んだことだろう。これで岐阜-高山間は通しで定数45となり(岐阜-飛騨金山間はC58でも定数65を確保)、捻出の9600を定数37のままの高山以北区間での貨物列車増発に振向ければ、線区全体の輸送力を向上可能と踏んだものと思われる。これでも、貨物運転の収益率は24.7パーセントを改善と試算されており、要員の増加は4名に留まっていた。

写真は、一ノ宮盆地から宮トンネルに取り付く築堤を上る4712D<たかやま>。この700メートル余りのR=250M曲線の築堤は20パーミル勾配の連続にほぼ半円形を描いて高度を稼いでいる。勾配は18パーミルで宮トンネル内を、その入口(久々野側抗口)の施工基面高714M10まで続き、標準勾配の19.9パーミルは飛騨小坂-渚間の同20パーミルと並んでD51導入を要した所以であった。
その時代には築堤全体を俯瞰する立ち位置のあったことが先達の撮影に知れるのだが、そこは歳月の経過に杉の樹林と化し、せめて洞上集落の道筋からとでも歩いても築堤の直近には倉庫らしきが建てられてしまい、それも叶わない。

[Data] NikonF5+AiAFNikkor 85mm/F1.8D 1/500sec@f2.8+1/2 C-PLfilter EktachromeProfessional E100SW [ISO160/0.5EVpush] Edit by PhotoshopLR5 on Mac.

関連記事

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://monochromeyears.blog.fc2.com/tb.php/271-a2464423
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)