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70's/80's Monochrome Age and Years of Ektachrome film

婦中鵜坂 (高山本線) 2009

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2005年4月1日、富山市は周辺の6町村と合併した。手続き上は富山市を含む新設合併であり、新たな自治体が富山市を名乗ったのであるが、これにて富山県域の3割を占める広大な面積を占めるに至った富山市は、そこに散在する旧市町村中心域を都市拠点とする再定義を迫られ、幸いなことに域間を結んでいた既存鉄道網の市内交通機関としての利用を目論んだのである。しかしながら、それらはモータリゼイションの進んだルーラル地域に在っては、必然に一部区間を除き衰退の一途を辿っており、全区間が市域に含まれることとなった西日本旅客鉄道の運営する高山本線も当然にそのひとつに数えられた。
ここで、富山市が国交省の補助の下に利用拡大と活性化の方途を探る一環として2006年10月から行った「JR高山線活性化社会実験」とその顛末についてはご承知のことと思う。詳細には触れないが、Webを検索すれば多くの記事が見つかる。
協力を依頼された西日本旅客鉄道は、類似のルーラル鉄道の多くを戦後に抱え続けた国鉄以来の鉄道事業者としての経験や分析から結果を十分に察知していたはずである。30分毎と云うルーラル鉄道には十分な運行頻度を確保したところで、経費を償い得るような増客に増収の得られないことをである。2011年3月改正を以ての実験終了と共に越中八尾-猪谷間については実験開始前と同数までの減便に踏み切っている。
それは例え15分ローテイションの運行としたところで同様であろう。このような地域の社会基盤構造は戦後の道路交通の整備とともに数十年を掛けて面的拡大を遂げてしまっており、拠点間を線状に繋いだ鉄道の必要とされる局面は最早限られるのである。なにより、地域住民の生活様態はそれに依存している。

ルーラル鉄道の再生には、この住民意識自体の変革が不可欠である。
有り体なもの言いと私見はお詫びしておくが、問題の根源は交通の不便ではなく、ルーラル地域の人々が自分の足で出歩かなくなってしまった所にあるだろう。通勤や通学或は所用の外出に、近隣の駅まで徒歩なりバスで向かい、郊外電車から地下鉄を乗継いで都心の目的駅に下車すれば、多少の距離のあっても徒歩で用務先に向かう都市生活者に比すれば、あまりに歩かな過ぎの感がある。外食や生活用品の調達先など多くの施設が郊外に散在してしまっている現状を考慮しても、自動車交通依存の行き過ぎに見えるのである。過疎の僻陬地ではなく、交通市場の成立しうる一定の人口規模を持ちながら、鉄道やバスが運行頻度を幾ら上げたところで、それに見合った集客の期待出来ない所以であり、西日本旅客鉄道はそれを良く理解していたと云うことになる。
富山市社会実験においても「とやまレールライフプロジェクト」なる組織の立ち上げられて、広報や鉄道利用の啓発を担ったけれど、それには10年単位での辛抱強い継続を要するだろう。

井田川橋梁の取付築堤区間を駆け下りるのは1090列車。云わずと知れた速星の日産化学富山工場専用線への線内貨物列車である。
これを目当てに定番の撮影位置に立ったのだが、誰も居ない県道62号線高山跨線橋上には、まもなくに撮影者の集まり始め、その数の20人を越える頃にキハ58/28の普通列車の通過すれば潮の引くように去って往くのに面食らったと覚えている。そう云えば、この社会実験での増発運用に用途廃止予定が一転起用され、同系列にとって最後の定期運用となっていたのである。直後の貨物に見向きもしないのもどうかと思うが、鉄道撮影への新規参入者には高山線社会実験の恩恵だったと云えよう。
徒歩の古い鉄道屋にもそれは在った。この地点へ以前は速星に降りて線路沿いに30分近くを歩いたものだが、実験の一環として至近に臨時駅の婦中鵜坂が開かれて、ほんの数分程で到達可能となったことである。
富山市の主導した事業所団地(富山イノベーションパーク)の至近に設けられた、この駅の利用者は実験開始前の想定を下回ったのだけれど、西日本会社の示した下限の利用者数の一日あたり140人は何とかクリアして、それの終了後も存続、2014年3月に至って駅昇格を果たした。

[Data] NikonF5+AiAFNikkorED180mm/F2.8D 1/250sec@f6.3 C-PL filter Ektachrome Professional E100G [ISO160 / 0.5EV push] Edit by PhotoshopLR5 on Mac.

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