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70's/80's Monochrome Age and Years of Ektachrome film

深浦 (五能線) 1977

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そこに固有の名称が付けられているものかは知らないのだが、深浦からの線路が行合崎へと繋がる台地に阻まれて海岸線の築堤に迂回した地点に見下ろす岩礁海岸は、五能線撮影の核心のひとつには違いなく、蒸機の時代から鉄道屋を集めたものだった。とは云え、道路側からも線路際からも、岩礁まで降りて波飛沫を浴びても、切取り斜面からの絵葉書的風景を除けば画角にまとめ難い手強いロケーションではあった。
幾度も通ったこの大築堤区間の海側には、車両の半分程を隠すくらいの高さで古枕木を垂直に隙間無く並べた「柵」が続いていた。秋田鉄道管理局管内に多くの例の在ったこの施設は、岩礁の海から飛来する「波の華」除けなのである。

ご承知の向きも多かろうが、北西の季節風に荒れる日本海で一定の条件下にて生ずる自然現象の様態、ないし、その生成物が「波の華」と呼ばれる。現象に対する学術名称もあろうかと思うけれど、不知である。
それは、海中に珪藻類など植物性プランクトンが豊富な岩礁地帯において、風速の7メートルを越える強風に4メートル以上の波の打ち寄せる、0℃近い低温の環境にて、プランクトン由来の粘質物質の溶け出した海水が繰返し岩礁に叩き付けられて発泡する現象を指す。石鹸成分と同じく分子中に親水基と疎水基を含む粘性物質が起泡剤として働くと云う。確かに一面に洗剤をぶちまけたような様相を呈し、その泡は指でつついた程度では破れない頑丈な皮膜である。指を舐めてみれば当然に塩辛い。
この泡が強風に千切れて舞う様を以て「波の華」と呼称されたものである。
強い風に煽られた「波の華」は内陸の1キロ程まで達して農作物に塩害を与え、また送電線など金属に付着すれば当然に腐食を引き起した。羽越本線の電気運転に際して、その電車線路設備や電気車両に特別の塩害対策を要したのもこれ故であった。五能線のこの区間での「柵」は、それの線路(軌条)への落下・付着を防いでいた。本来の使命を終えた古枕木は、塩による腐蝕も無く最適の材料だったのである。

小さな岬の背後は絶壁と云う先端まで登って待った列車は、混合1730列車の東能代行き。
波の華防止の木柵は趣の在るのだけれど、編成の下回りを覆ってしまうのが痛し痒しなところだ。

[Data] NikonF2A+AiNikkor50mm/F1.8 1/250sec@f4 NON filter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopLR5 on Mac.

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