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70's/80's Monochrome Age and Years of Ektachrome film

会津檜原 (只見線) 1972

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40年前、只見線と名を変えたばかりの線路から降りてみた桧原は、深い谷の只見川右岸に僅かばかり開けた段丘面ともう一段上に耕作地を持つ趣の在る集落だった。融雪の進む雪原に散在する茅葺き屋根の家々には思わず見とれた覚えが在る。
この会津地域には只見川に限らず谷筋の僅かな平地毎に集落が開かれ、山間と云えど道内のごとくに無人地帯が広大に続くではない。12世紀の平家の落人集落との話も耳にするけれど、それにしてもこの山深い地によくも棲み着いたものと思う。古には流路がその里々を行き来する交通路だったろうから、それを伝い越えさえすれば良かったかも知れないが、鉄道の隣駅の所在する中野(滝谷)集落も、名入(西方)の集落もこの1970年代当時まで陸路を採ろうとすればかなりの迂回に峠越えを余儀なくされたのだった。西方の中心集落なぞ川を挟んで指呼の間に見えるに関わらずである。
会津坂下から山間に分け入って建設の線路は、深い谷への架橋も厭わずにこれらの集落を連絡する線形を採ったから、特に道路の閉ざされた積雪期にはそれを通路として歩いた村人も多かったことだろう。

1941年10月28日の会津柳津から会津宮下への延長開業に際し、滝谷と会津西方の4キロばかりの中間に置かれた会津檜原(現会津桧原)停車場は閉塞を扱うまでも無く、開設より要員配置のなされない仮停車場とされた。同年10月24日付でのこの区間開業に関わる鉄道省告示(第223号)には「毎年冬季必要ノ時期ニ限リ旅客ノミヲ取扱ヒ」「開閉期日及ビ取扱區間ハ關係停車場ニ之ヲ掲示ス」とある。とは云え翌1942年6月1日付では正駅に格上げされたから、実際に営業休止の期間は無かったものと思われる。この1972年当時にも、開業に用意されたであろうホーム上の木造待合所の残る駅であった。
ここに降りたのは、只見川沿いに名入対岸の川井集落まで続いていた細道(古の交通路であろう)から第一只見川橋梁を望もうとの目論みだったけれど、それは樹木に邪魔されて脆くも崩れ去ってしまった。仕方なく原谷トンネル出口側で細い流れの深い谷を一跨ぎしていた鉄骨アーチ橋の持奇橋梁に向かうも、ここでも何やら谷底で土工の跡があり落胆したのを覚えている。今は国道252号線の洞門が延々と続いて、その基礎工事だったのだろう。

会津にやって来ると都内ではあまり見かけなくなっていた子守り半纏、所謂「ねんねこ」は日常と知れた。それは別珍の襟の綿入れと相場が決まっていたけれど、この若い母親は羊毛製のケープ状のものを羽織っていた。今に「ママコート」などと呼ばれるそれは、この頃既に商品化されていたのである。確かにミニスカートに綿入れ「ねんねこ」は似合いそうに無い。下り列車でのお出掛け先は宮下の街と見えた。
背中に負ぶわれた赤子ももう40代である。鉄道屋も古びるはずだ。
キハ45を先頭にした3両編成は429D、小出行き。

[Data] NikonFphotomicFTN+AutoNikkor5cm/F1.8 1/125sec@f8 Y48filter NeopanSSS Edit by PhtoshopLR5 on Mac.

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コメント

要するに、ねんねこ

要するには、ねんねこ半纏なんですがね、ケープ風のそれは百貨店でも「ママコート」の名で販売されてました。
多分、今でもそう呼ばれているはず。
このような本来的に家内生産品が工業製品と化したのも、この時代でした。
1972年は60年代からのミニスカート流行の末期で、都内ならフェミニンなロングに移行しつつありましたから、
会津地域への流行は少し遅れてやって来たのでしょう。
ゴム長靴は融雪期のお約束。奥羽地域一円には、仙台に在った弘進ゴムの製品が広く出回って、それは優れものと記憶。

  • 2014/06/18(水) 01:45:20 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

ミニスカートにママコート

ねんねこは積雪地のローカル線のお約束でしたが、ママコートとは。
ミニスカートもこの当時を反映しています。
片田舎にテレビも行きわたり、都会の風も忍び込んでいたのでしょうか。
貴重な時代の記録です。

  • 2014/06/16(月) 22:07:05 |
  • URL |
  • 風太郎 #ORZvdv76
  • [ 編集 ]

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