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70's/80's Monochrome Age and Years of Ektachrome film

陣場 (奥羽本線) 1980

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その昔、<つばめ><はと>や<はつかり>の編成端に組成されていたスハニ35は、乗車中の旅客の託送手荷物(チッキ)を積んでいた。現在の航空機輸送と同じく、荷物の多い長距離移動の特急旅客には欠くべからざるサーヴィスだったのである。対して20系固定編成客車以降の特急寝台列車の電源装置搭載の荷物車が運んでいたのは、主には日本国有鉄道旅客及び荷物営業規則(1958年10月1日施行)の第353条に定める「特別扱小荷物」の新聞紙であった。明朝までの速達を要する新聞の朝刊は、従来より「特別扱新聞紙」として列車輸送が行われては居たのだが、輸送距離・範囲の限られたものを1958年10月1日改正における<あさかぜ>でのマニ20の運用開始に際して、特別扱新聞紙運賃(同重量同運送距離と仮定した普通扱小荷物運賃の凡そ9割引であった)の他に、その運賃の2倍相当額を「運送列車指定料金」としての徴収を制度化したのであった。勿論、これは固定編成客車の設計段階から構想され、編成に不可欠の電源装置搭載車への荷物室設置はこのためであった。
運用開始後の旺盛な需要に1959年の<さくら>向け増備車が3tから5t積みへと荷物室容積を増大したカニ21とされたのは周知のとおりである。
この輸送は特急寝台列車の増発とともに拡大を続け、1964年10月1日改正からは、それの設定の無い方面に対して急行列車に専用荷物車を連結しての輸送も始められた。

ただし、当時の国鉄は主要駅における旅客と荷物扱いの輻輳回避や、輸送効率上に拠点駅間での小荷物と小口扱貨物の共通化から客荷分離を進めており、朝刊輸送も将来的には夜行運転の荷物専用列車を設定する方針であった。1971年度に20系客車の後継として新製の14系特急形客車が分散電源方式で電源荷物車を持たず、1972年11月6日に生じた北陸トンネル列車火災事故から、集中電源方式に急遽設計を変更して1973年度に増備の24系のマヤ24が荷物室を装備しなかったのも、それによる。
しかしながら、市場の要求は国鉄の思惑を裏切り、続く1974年度の24系25形としての増備に際しては3t積の荷物室を持ったカニ24、さらに1977年度からは5t積載の同100番台を製作せねばならなかったのである。もっとも、これら増備は各方面の急行列車の格上げ用途だったから、旅客車と一体組成の電源荷物車はそれに連結の(新聞輸送の)荷物車の代替を果たすことにはなっていた。

1970年代に隆盛を極めた朝刊輸送ではあったが、各方面への高速道路整備の進展した1980年代ともなれば、その性格からの締切時間にも有利なトラック輸送への切替が進み、また中央発行紙の地方への印刷工場建設の動きなどから輸送量は減少し、区間も限定されて往った。そして、国鉄の小荷物輸送から大幅に撤退した1986年11月1日改正にて、ごく一部を除いて廃止され、上野や大阪駅での発車間際の積込みの喧噪は過去のものとなった。

さて、日本海縦貫線を走った<日本海>の荷物車にも、それ独自の運用番が振られていたけれど何を積んでいたのだろうか。
実は、1968年10月と云う早い時期の設定ながら、大阪から北陸方面への時間帯の適合しないこの列車に新聞輸送の実績は無いのである。運んでいたのは、同じく1958年10月1日より制度化の「運送列車指定料金」を課した普通扱小荷物、所謂急送品と呼ばれた高級貨物(荷物)であった。けれど、めぼしい経済拠点の見当たらない運転区間にあっては需要も小さく、1975年3月10日改正での14系置替を機会に廃止されてしまった。1978年10月2日改正にて24系の運用となり、1976年2月以来の季節列車も定期列車に格上げられた際には、2往復共に荷物車運用が設定されたものの、それはそれぞれの共通運用列車に関わってのことであり、<日本海>では引続き荷物輸送は行われなかった。
復活は、国鉄がトラック輸送の宅急便に対抗して「鉄道宅配便」を開始した1982年2月であり、市中集配網の整備を受けて「列車指定荷物輸送」の営業列車に追加されたものである。

写真は、白沢への新線を駆け抜けて往く4002列車<日本海2号>。カニ24の荷物室は空気を運んだ頃である。
複線化による陣場駅構内嵩上げにて旧線より勾配の吃くなった区間だけれど、上り線ゆえ影響がない。植生に覆われた築堤中段に旧線路盤が残る。

[Data] NikonF2A+AiNikkor28mm/F2.8 1/250sec@f5.6 Nikon Y48filter Tri-X(ISO320) Edit by PhotoshopLR5 on Mac.

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