FC2ブログ

70's/80's Monochrome Age and Years of Ektachrome film

杉原 (高山本線) 1998

sugihara_01-Edit.jpg

1932年8月20日に開駅した杉原は宮川へと落込む斜面に設けられ、乗降場と本屋に高低差のある信号場のような造作の停車場である。R=700Mの緩い曲線を描く構内は、その例に漏れず趣の鉄道景観を見せてくれた。ここには「飛騨最北の駅」との標柱が建てられているとおりに、高山本線はここから峡谷を刻む宮川の谷を隧道と橋梁の連続する線形にて県境を越え、富山県婦負郡細入村の猪谷へと至る9キロあまりに停車場を持たない。
同じく谷を辿る旧越中西街道の国道360号線も、2000年に細入バイパスと細入宮川道路の一部として新道の供用されるまでは、国道とは名ばかりの冬期間には閉鎖される細道であり、ここは確かに飛騨地域の最深部なのだった。

この高山本線の北部区間(勝手に高山北線と呼称している)に頻繁に通うようになった1990年代前半には、個人事業主と云う仕事上の利便から普及の始まった携帯電話を既に手にしていたのだけれど、所謂県境に接する山間僻陬の地にあたる沿線は、当時には当然ながら携帯電話の利用圏外だった。普及途上だからリアルタイムの着信にはあまり気を使わなくても良かったが、発信や留守録された伝言を聞くには公衆電話に頼らざるを得ず、外来者の余り無いこの地域で公衆電話ボックスの設置は坂上駅至近の宮川村役場構内に杉原駅前のみであり、角川の駅前商店、打保の簡易郵便局の局舎内にはそれの閉店後の利用は出来なかった。
角川や坂上は比較的早くに基地局が設置されて、不便も解消したのだけれど、坂上から10キロ余りを隔てた打保とさらに奥まった杉原の利用圏外は永く続いた。その中で杉原駅前の公衆電話が利用の少ないとして撤去されたのには困ってしまった。他に設置は、駅から延々と斜面を上った白木ヶ峰スキー場下に開設されていた村営温泉施設しか無く、一日を撮影に歩き回った挙げ句の登坂往復には辟易したものだった。
実を云うと、この不便を同じく撤去されてしまった駅待合室へのストーブ再設置と合わせて宮川村役場にメイルで訴えたことがある。担当者からの返信は「検討させていただきます」との形式的なものだったのだけれど、半年程を経て駅からやや離れた位置に、ボックスでは無くスタンド形式ながら公衆電話の再設置されたのには驚いた。まさか、個人の要望が受け入れられたとは思えないが、携帯圏外の実情に役場も必要性を認識し、その要求をNTTも基地局設置予定の無いことを前提に受け入れたのだろう。

写真は杉原場内に進入した1025D<ひだ5号>。
ホーム上の積雪がこの画角の邪魔をするものだから、駅前の民家でスコップを貸してもらい1時間程かけて除雪している。
当然に勘違いなのだが、当の民家住民にはえらく感謝されたのを思い出す。

2004年10月の台風災害からの復旧に3年振りで打保に降り立つと、そこには基地局のアンテナが建てられていた。杉原でもその電波を辛うじて受けたのだけれど、通話状態の悪いことこの上無かった。

[Data] NikonF5+AiAFNikkor ED180mm/F2.8D 1/125sec@f5.6 NON filter Ektachrome Professional E100SW [ISO160/0.5EVpush] Edit by PhotoshopLR5 on Mac.

関連記事

コメント

Re: 高山北線

こんにちは、影鉄さん。

雨降りは撮影行動には厄介ですが、景観としては良いものです。緑濃い頃なら尚更に思います。
打保から杉原は何度も通った区間です。
杉原のここに立たれたならば、画角の上部が半端に切れてしまう理由がお判りと思います。
カメラ位置をホーム面ギリギリまで下げる必要のあって、冬なら雪掻きが必須科目になります。
かつては、この隣に軌道自転車の収納小屋があって右に寄れないのも難点でした。
成果、拝見させていただきます。
私も、この画角は春夏秋冬撮っていますので、そのうちに掲示させていただくつもりです。

  • 2014/07/05(土) 14:06:40 |
  • URL |
  • Wonder+Graphics #-
  • [ 編集 ]

高山北線

こんにちは。
梅雨空・雨降り覚悟で行ってきました。
山深さが数段増し、私好みの絶景が続く正に感嘆の地でした。
(間違いなく通います)

「杉原駅」は今回私も訪問し駅撮りしました。
近々ブログにアップしますが、こちらの作品と構図丸被りになっておりますことご容赦下さい。

  • 2014/07/05(土) 09:58:40 |
  • URL |
  • 影鉄 #-
  • [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://monochromeyears.blog.fc2.com/tb.php/187-4cdfff98
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)